Article 脊髄小脳失調症モデルでのポリグルタミン誘導型神経変性を抑制するRNAi 2004年8月1日 Nature Medicine 10, 8 doi: 10.1038/nm1076 脊髄小脳失調1型(SCA1)やハンチントン病などを含む優性のポリグルタミン伸長疾患は、進行性で、治療法のいまだにない神経変性疾患である。SCA1およびハンチントン病の誘導型マウスモデルでは、変異型対立遺伝子の発現を抑制すると、疾患の表現型が改善される。したがって、変異遺伝子の発現を抑制する治療法が有効であると考えられる。今回、SCA1のマウスモデルで、変異型アタキシン1によって引き起こされるポリグルタミン誘導型神経変性を、RNA干渉(RNAi)法で阻害できるかどうかを調べた。短いヘアピン型RNAを発現する組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを脳内に注入したところ、運動協調が著しく改善され、小脳の形態異常が回復し、SCA1マウスのプルキンエ細胞における特徴的なアタキシン1封入体が消失した。この結果は、RNAiがin vivoで優性神経変性疾患の治療法に使える可能性があることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る