Article P2X7受容体の阻害は脊髄損傷後の回復を促進する 2004年8月1日 Nature Medicine 10, 8 doi: 10.1038/nm1082 脊髄損傷の程度は二次損傷によって悪化するが、この現象を引き起こす仕組みはほとんど調べられていない。本論文では、外傷周囲の広い領域が、病因性の高レベルのATP放出を持続的に起こすという特徴を有することを報告する。脊髄ニューロンはP2X7プリン受容体(P2X7R)を発現し、ATPに曝されると発火頻度が上昇するようになり、細胞質カルシウム濃度が不可逆的に増加して細胞死が起こる。今回、P2X7Rの遮断が急性脊髄損傷(SCI)の改善に及ぼす影響を評価するために、急性圧迫性損傷を生じたラットに、P2X7RのアンタゴニストであるOxATPまたはPPADSを注射した。OxATPとPPADSはともに機能回復を有意に改善し、外傷周囲領域における細胞死を減少させることがわかった。これらの結果は、SCIの際にはプリン作動性受容体の持続的活性化が起こっており、これが興奮毒性によるニューロン変性を招くことを実証するものである。P2X7Rアンタゴニストはこうした過程を阻害し、急性SCIの組織学的広がりと、機能上の続発症の両方を縮小する。 Full text PDF 目次へ戻る