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呼吸器ウイルス:siRNAの経鼻投与による呼吸器ウイルスの阻害

Nature Medicine 11, 1 doi: 10.1038/nm1164

RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス、RSV)およびパラインフルエンザウイルス(PIV)は高い死亡率をもたらすことから、抜きんでて医学的重要性が高い呼吸器系病原体といえる。現時点ではいずれのウイルスに対しても、信頼性の高いワクチンまたは抗ウイルス薬は存在しない。本論文では、RNA干渉(RNAi)法を用い、マウスでのRSVとPIVの単独感染ならびに重複感染を、低分子干渉RNA(siRNA)を鼻腔内に滴下することで、トランスフェクション試薬使用の有無にかかわらず特異的に予防し、進行を阻害できたことを報告する。予防の程度は培養細胞中でsiRNAが示す抗ウイルス活性と合致しており、これは有効なsiRNAの迅速なスクリーニングを可能にする。重複感染で両方のウイルスを標的とした場合、一方のsiRNAの量が過剰だと、もう一方のsiRNAによる阻害作用が弱まるので、RNAiの起こる過程で競合が生じると考えられる。今回得られた結果は、適切に設計されたsiRNAであれば、吸入による低濃度の投与が、ヒトの呼吸器ウイルス疾患に対する迅速で強力な効果をもち、しかも投与が容易な抗ウイルス療法となりうることを示している。

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