Article

血管新生:Akt1は病理的血管新生、血管の成熟および透過性をin vivoで調節している

Nature Medicine 11, 11 doi: 10.1038/nm1307

Aktキナーゼは、細胞の増殖、アポトーシス、代謝、転写などの基本的な機能を制御し、癌や虚血性傷害などの血管新生に依存した病理変化の治療標的として有望だろうと考えられてきた。しかし、Aktキナーゼが血管新生に果たす役割は正確にはわかっていない。本論文では、Akt1が血管細胞における主要なアイソフォームであることを示し、またAkt1のノックアウトが脈管の完全性および病理的血管形成に及ぼす予想外の影響について報告する。Akt1ー/ーマウスでは、3種類の異なるin vivoモデルにおける血管新生応答が促進された。この応答の増進は、不完全な血管成熟と血管透過性の亢進と関連していた。Akt1ー/ーマウスに見られる不完全な血管成熟は、内皮型一酸化窒素シンターゼ(eNOS)の活性化低下に起因する可能性があるが、血管透過性および血管新生における表現型の主要な変化は、2種類の内因性血管調節因子、トロンボスポンジン1(TSP-1)およびトロンボスポンジン2(TSP-1)の発現低下と関連づけられた。野生型骨髄を移植したマウスでTSP-1とTSP-2の発現を回復させると、Akt1ー/ーマウスの血管新生異常は修正された。これらの結果は、Akt-トロンボスポンジン系が血管新生に重要な役割を果たすことを確証するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度