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運動失調および小脳欠損の予防にNBS1が

Nature Medicine 11, 5 doi: 10.1038/nm1228

ナイメーヘン染色体不安定症候群(NBS)、毛細血 管拡張性失調症、毛細血管拡張性失調症様疾患 (ATLD)では、成長遅延、小頭症、小脳発達不全、 運動失調のような表現型が重複している。しかし、 これらの神経学的欠損の分子レベルでの病因は未だ 解明されていない。本論文では、マウスの神経組織 でNbn遺伝子(Nbs1とも呼ばれる)を不活性化さ せると、小頭症、成長遅延、小脳欠損、運動失調な どを含むNBS、毛細血管拡張性失調症、ATLDに特 徴的な神経学的異常が組み合わされて生じることを 報告する。Nbnの喪失は、小脳において顆粒球前駆 細胞の増殖停止と有糸核分裂中止後のニューロンの アポトーシスを引き起こす。また、Nbnを欠く神経 前駆細胞では増殖が見られなくなり(アポトーシス は増加しない)、染色体切断点が増加し、これに伴 って毛細血管拡張性失調変異タンパク質(ATM) 介在性のp53活性化が起こる。p53の除去が、Nbn 変異マウスの神経学的欠損を相当度回復することは 注目すべきである。本研究では、NBS、毛細血管拡 張性失調症、ATLDで見られる神経学的異常におい てNBS1(Nbn遺伝子の産物)の果たす生理的機能 とDNA損傷応答の機能に関して手がかりを与える ものである。

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