Article 多様な化合物がAβ42の産生を増大させ てアルツハイマー病の原因となる突然変 異に似た影響を与える 2005年5月1日 Nature Medicine 11, 5 doi: 10.1038/nm1235 Aβ42の産生増大はアルツハイマー病の発症に結び つくと考えられている。今回、Aβ42の産生を増大 させる多数の化合物を同定した。その中でAβ42を かなり増加させることがわかったのは、抗高脂血症 薬のフェノフィブレートとCOX-2選択性NSAIDのセ レコキシブである。今回検討したCOX-2選択性 NSAID群の多くはAβ42を増加させたが、これらの 中にはAβ42を減少させる2種類のNSAIDのCOX-2 選択性誘導体が複数含まれていた。COX活性を欠く 化合物および内在性イソプレノイドであるFPPや GGPPもまたAβ42の産生を増大させた。これらの 化合物は、in vitroでγセクレターゼが触媒するAβ 42の産生を増大させており、γセクレターゼ複合体 を標的とすると考えられる。短期in vivo実験で、A β42の産生を増大させる2種類の化合物がマウス脳 内のAβ42濃度を上昇させることがわかった。これ らの化合物によるAβ42の産生増大は、アミロイド βタンパク質前駆体をコードする遺伝子やプレセニ リンをコードする遺伝子に起こり、アルツハイマー 病の原因となる突然変異によって誘発されるAβ42 の産生増大とほぼ匹敵する規模であった。このこと は外因性化合物あるいは本来的に存在するイソプレ ノイド類が、ヒトでAβ42の産生を増大させる可能 性があることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る