Technical Report 癌と画像化:量子ドットにより腫瘍環境内の複数成分をin vivoでスペクトル的に識別する 2005年6月1日 Nature Medicine 11, 6 doi: 10.1038/nm1247 固形腫瘍は、細胞外マトリックスに埋まった癌細胞や宿主細胞が血管から栄養分を得ている一種の器官と考えることができる。腫瘍の病態生理学を解明するにはまず、動態研究で各成分を識別・監視できなくてはならない。標準的な蛍光分子では、これらの成分の生体内における同時画像化に支障が出る。今回我々は、多光子顕微鏡法と、緑色蛍光タンパク質を発現したトランスジェニックマウスを使い、そこに量子ドット標品を組み合わせて測定を行った。これらの蛍光半導体ナノ結晶を必要に応じて改造すれば、血管周囲の細胞とマトリックスと腫瘍血管を同時に画像化でき、さらにこれを識別することも可能だとわかった。また、これらの技術を使って、さまざまなサイズの粒子について腫瘍への到達能を測定した。そして、量子ドットで標識した骨髄由来前駆細胞が腫瘍脈管系に動員される様子を見ることができた。これらの例は、腫瘍の病態生理学の研究や治療手段の創出の際に、量子ドットがさまざまに使えることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る