Article 白血病と幹細胞:急性リンパ芽球性白血病における造血幹細胞関与の異なるパターン 2005年6月1日 Nature Medicine 11, 6 doi: 10.1038/nm1253 ほとんどの癌において、最初の突然変異および悪性形質転換の標的細胞は明らかになっていない。本論文では、臨床的および遺伝学的に異なるサブタイプに属する急性リンパ芽球性白血病(ALL)が、血球分化の異なる段階で発生し、形質転換することを示す。最初のETV6-RUNX1遺伝子(TEL-AML1としても知られる)融合とそれに引き続いて起こる白血病性形質転換は、B細胞となることが運命づけられた前駆細胞を標的としていた。メジャー切断点BCR-ABL1融合遺伝子(P210 BCR-ABL1をコードする)は造血幹細胞(HSC)から発生するが、マイナー切断点BCR-ABL1融合遺伝子(P190 BCR-ABL1をコードする)はB細胞前駆細胞由来であった。このことは、P190とP210 BCR-ABL1 ALLの腫瘍生物学的および臨床的本質が大きく異なることを示唆している。ETV6-RUNX1 ALLと同様に、P190とP210 BCR-ABL1 ALLの両者で、白血病の起因となる形質転換幹細胞は、B細胞となることが運命づけられた前駆細胞の表現型を有していた。すべての患者において、正常細胞を再構築する幹細胞と白血病細胞を再構築する幹細胞を予測通りに分離することに成功した。注目すべきことに、ETV6-RUNX1やP190 BCR-ABL1 ALLにおける正常HSC分画のサイズは、活発に増殖している白血病性幹細胞集団の影響を受けていないことが明らかになった。 Full text PDF 目次へ戻る