Correspondence 成長因子がパーキンソン病患者に再び希望を 2005年7月1日 Nature Medicine 11, 7 doi: 10.1038/nm0705-703 グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)をパーキンソン病患者の脳に注入したところ、病気に冒された脳領域の1つで神経繊維の成長が起こったとの報告が寄せられている。パーキンソン病は変性疾患で、脳の被殻と呼ばれる領域で化学メッセンジャーのドーパミンが消失し、運動異常という特徴的な症状に結びつく。これまでに小規模な臨床試験で、患者の被殻にGDNFを直接注入すると臨床症状の改善がみられることが明らかになっていた。その後、2つ目の臨床試験は、安全性の問題もあって中断されていた。今回Seth Loveたちは、最初の臨床試験に参加して、GDNF投与によって改善のみられた患者の1人の脳を分析し、被殻にドーパミンを含む神経繊維が再生していることを発見した。これは、ヒト脳へのGDNF注入がドーパミン繊維の発生を引き起こし、それに伴ってパーキンソン病の臨床症状に改善がみられることを示す、初めての神経病理学的証明である。この発見によって、パーキンソン病の治療法になる可能性があるとしてGDNFへの関心が再び高まるかもしれない。 Full text PDF 目次へ戻る