Article 糖尿病:構造維持因子HMGA1の欠失はヒトとマウスでインスリン抵抗性と糖尿病を引き起こす 2005年7月1日 Nature Medicine 11, 7 doi: 10.1038/nm1254 2型糖尿病は広く見られる疾病で、患者は世界中で数百万人に達する。遺伝および環境要因がこの代謝性疾患に関連すると考えられているが、原因はまだよくわかっていない。本論文では、高移動度群タンパク質A1(HMGA1)の細胞内発現の顕著な減少を引き起こす遺伝的欠陥について報告する。この遺伝的欠陥をもち、インスリン抵抗性を示す4人の2型糖尿病患者由来の細胞および組織では、インスリン受容体の発現に悪影響が生じていた。患者由来の細胞でHMGA1タンパク質の発現を回復させるとINSR遺伝子の転写が増進し、細胞表面でのインスリン受容体タンパク質の発現とインスリン結合能が回復した。マウスでHmga1遺伝子の破壊によりHmga1タンパク質を欠損させると、インスリン作用の主要な標的組織でインスリン受容体の発現が低下し、インスリンによるシグナル伝達がほとんど働かなくなり、インスリン分泌が著しく低下して、ヒト2型糖尿病に特徴的な表現型が引き起こされた。 Full text PDF 目次へ戻る