Letter 非ヒト霊長類をエボラおよびマールブルグウイルスから防御する弱毒化組換え生ワクチン 2005年7月1日 Nature Medicine 11, 7 doi: 10.1038/nm1258 フィロウイルスに属するエボラウイルス(EBOV)やマールブルグウイルス(MARV)などの新興病原体あるいはこれらが生物テロ兵器として使われた場合引き起こされる公衆衛生的緊急事態に対処するには、ワクチンや治療法の開発が急務となる。今回、EBOV糖タンパク質もしくはMARV糖タンパク質のいずれかを発現する弱毒化組換え水泡性口内炎ウイルスベクターを基本として、EBOVおよびMARVに対する自律的増殖可能なワクチンを開発した。このEBOVもしくはMARVワクチンは、非ヒト霊長類で筋肉内単回投与により致死的なEBOVもしくはMARVの投与に対する完全な防御免疫応答を惹起した。サルでのワクチンベクターの放出が認められなかったこと、またワクチン接種に伴う発熱などの疾病症状が起こらなかったことは注目に値する。EBOVワクチンが、接種を受けたすべてのサルで体液性および細胞性免疫とみられる応答を誘導したのに対して、MARVワクチンでは細胞性よりも体液性免疫応答のほうが強く誘導された。ウイルス投与後、接種を受けた動物でのEBOVもしくはMARV複製の証拠は認められなかった。我々のデータは、これらのワクチン候補が、ヒトと近縁の動物モデルにおいて安全で高い効果をもつことを示している。 Full text PDF 目次へ戻る