Article 糖尿病:β細胞でのmRNAの翻訳制御による小胞体機能の保持はグルコース恒常性の維持につながる 2005年7月1日 Nature Medicine 11, 7 doi: 10.1038/nm1259 2型糖尿病は、増加する代謝的要求に見合うだけのインスリンをβ細胞が適切に産生できないことが原因で高血糖をきたす疾患である。本論文では、eukaryotic initiation factor 2(eIF2α)のリン酸化によるmRNAの翻訳調節は、小胞体(ER)の完全性を保持し、高脂肪食の場合の必要に見合うようにインスリン産生を増加させるうえで不可欠なことを示す。ER内に折りたたまれないタンパク質が蓄積すると、eIF2αの51位のセリンのリン酸化が促進されて翻訳が阻害される。β細胞の機能におけるこの経路の役割を明らかにするために、我々は51位のセリンがアラニンに置換されたEif2s1 tm1Rjk変異マウスにおけるグルコース恒常性を検討した。ヘテロ接合体の(Eif2s1+/tm1Rjk)マウスは、高脂肪食下で肥満、糖尿病をきたす。重篤な耐糖能異常は、ER内腔の異常な拡張、プロインスリンの輸送障害、β細胞内のインスリン顆粒数の減少を伴ったインスリン分泌の低下が原因であった。翻訳調節は、インスリン合成とタンパク質を折りたたむ能力とを共役させてERの完全性を維持するもので、このシグナルは食餌性の2型糖尿病の予防に重要であると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る