Article ワクチン:天然痘ワクチンにより誘導される抗体はサル痘ウイルスに対する防御に必要十分な働きをもつ 2005年7月1日 Nature Medicine 11, 7 doi: 10.1038/nm1261 ワクシニアウイルスを用いた生ワクチン接種は、天然痘の病原体である痘瘡ウイルスに対して長期にわたって防御力を発揮する。しかしながら、ヒトでのこの防御の仕組みはあまりよくわかっていない。本論文では、痘瘡ウイルスのオーソログであるサル痘ウイルスからマカクザルを防御するのに、ワクシニア特異的B細胞応答が不可欠であることを報告する。致死的なサル痘ウイルスを静脈内投与した場合に抗体を使ってB細胞を枯渇させるとワクチンによる防御が見られなくなるが、CD4+やCD8+T細胞を枯渇させてもこうしたことは起こらない。さらに、免疫していないマカクザルでも、ヒトのワクシニア中和抗体の受動移入により重篤な病状は見られなくなる。したがって、長期にわたる防御抗体応答を誘導できるワクチンは、現在使われている天然痘ワクチン(Dryvax)の現実的な代替物となる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る