Letter 癌と免疫:抗体併用療法によるマウスでの確立した腫瘍の根絶 2006年6月1日 Nature Medicine 12, 6 doi: 10.1038/nm1405 腫瘍細胞に対するアポトーシスの誘導は多くの癌治療の基礎であり、また、腫瘍特異的なT細胞は有効な抗腫瘍免疫療法の主要なエフェクターである。本論文では、DR5(TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)のアポトーシス誘導受容体)に対してアゴニスト作用をもつモノクローナル抗体を用いた腫瘍細胞へのアポトーシスの誘導とともに、共刺激分子CD40およびCD137に対してアゴニスト作用をもつモノクローナル抗体を用いたT細胞の活性化を同時に行うことで、腫瘍特異的なエフェクターCD8+ T細胞を強力にかつ迅速に誘導し、確立した固形腫瘍を根絶できることを示す。発癌物質3-メチルコラントレン(MCA)により引き起こされた原発繊維肉腫、多臓器への転移、および腫瘍細胞の90%までもがDR5特異的モノクローナル抗体によるアポトーシス誘導に抵抗性を示す原発腫瘍もまた、明らかな毒性や自己免疫の誘導もなく拒絶された。この3つのモノクローナル抗体(trimAb)の併用療法は、腫瘍の所属リンパ節においてインターフェロン(IFN)-γを産生する腫瘍特異的なCD8+ T細胞を迅速に誘導した。これは、腫瘍拒絶過程でCD8+ T細胞とIFN-γが決定的に重要であることと一致する。マウスにおけるこれらの結果は、DR5を介する腫瘍細胞のアポトーシスを引き起こすと同時にT細胞を活性化する作用をもつ合理的なモノクローナル抗体併用療法が、ヒトにおける癌免疫治療の効果的な戦略となる可能性を示している。 Full text PDF 目次へ戻る