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造血:破骨細胞は骨内膜の構成因子を分解し、造血前駆細胞の動員を促進する

Nature Medicine 12, 6 doi: 10.1038/nm1417

本論文では、骨を吸収する破骨細胞が、恒常状態、およびストレス誘発による造血前駆細胞の動員で果たすと思われる役割について検討した。さまざまなストレス状態によって、幹細胞に富む骨内膜領域に沿った破骨細胞(OCL)の活性、タンパク分解酵素の分泌および造血前駆細胞の動員が誘導された。RANKLによりOCLを特異的に刺激すると、主として未成熟な前駆細胞がCXCR4およびMMP9依存的に循環血中に動員された。しかし、OCLの骨への接着と吸収に欠陥の見られる若令雌PTPεノックアウトマウスでは、RANKLによる動員は起こらなかった。カルシトニンでOCLを阻害すると、恒常状態、G-CSFによる動員およびストレス状態での造血前駆細胞の放出が低下した。RANKLに刺激された骨吸収性OCLは、幹細胞ニッチの構成成分SDF-1、幹細胞因子(SCF)および骨内膜に沿ったオステオポンチンを減少させ、これは造血前駆細胞の動員と関連していた。骨吸収にはたらく主要なプロテイナーゼであるカテプシンKも、SDF-1とSCFを分解した。今回の結果は、OCLが恒常性と宿主防御の一部として選択的な造血前駆細胞動員に関与し、骨リモデリングを造血の調節と結びつけていることを示している。

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