Letter

肝疾患:CB1カンナビノイド受容体の拮抗阻害:肝繊維症の新しい治療法

Nature Medicine 12, 6 doi: 10.1038/nm1421

肝繊維症は慢性肝疾患に関連して起こるよく見られる症状で、最終的には世界中で大きな公衆衛生問題となっている肝硬変に至る。我々は最近、肝臓のカンナビノイドCB2受容体の活性化が、実験的肝繊維症の進行を抑えることを報告した。また慢性C型肝炎の進行中には、日常的な大麻使用が繊維化進行の独立予測因子の1つとなることも明らかにした。以上の結果を総合すると、内在性カンナビノイドが、CB2を介した抗繊維形成作用と、CB2に依存しない繊維化促進作用の両方を誘導する可能性が考えられる。本論文では、カンナビノイドCB1受容体(Cnr1にコードされる)の活性化が、繊維症進行を促進するかどうかを調べた。CB1受容体は、ヒトの肝硬変組織と肝臓の繊維形成誘導性細胞で強く誘導されていた。CB1受容体のアンタゴニストであるSR141716Aの投与により、急性肝傷害に対する創傷治癒反応が低下し、慢性肝傷害の3つのモデルでは繊維症の進行が阻害された。野生型マウスと比較した場合、同様の変化がCnr1-/-マウスでも認められた。CB1受容体を遺伝学的または薬理学的に不活性化すると、肝臓のトランスフォーミング増殖因子(TGF)-β1の減少と、肝臓の筋繊維芽細胞のアポトーシスや増殖阻害後に肝臓で起こる繊維形成誘導性細胞の蓄積減少により、繊維化が低下した。したがって今回の研究は、CB1受容体のアンタゴニストは肝繊維症の治療に有効となる可能性を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度