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痙攣:実験的熱性痙攣は高熱が引き起こす呼吸性アルカローシスによって急激に誘発される
Nature Medicine 12, 7 doi: 10.1038/nm1422
熱性痙攣は幼児期に多く起こり、持続性(複雑型)熱性痙攣は側頭葉てんかんの罹患率増加と関連がある。熱性痙攣の病態生理学的転帰については、高熱を誘発した仔ラットを用いて広く研究されてきた。しかしながら、この痙攣の惹起機序は明らかになっていない。脳のpH上昇は、ニューロンの興奮性を亢進することが知られている。本論文では、未成熟な脳では高熱が呼吸性アルカローシスを引き起こし、痙攣を誘発する閾値は0.2〜0.3pH単位であることを示す。CO2濃度を5%にしてアルカローシスを抑制すると、痙攣は20秒以内に消失した。CO2は、高熱による痙攣が海馬におよぼす2つの長期的な影響であるIh電流の増加およびCB1受容体の発現増加も防止した。高熱の影響は、炭酸水素塩の腹腔内投与によってほぼ再現された。今回の結果は、熱性痙攣の惹起機序を明らかにし、発熱が関与するてんかん症候群の研究および治療に対する新たな戦略を示唆している。