Article 脱髄疾患:LINGO-1アンタゴニストはMOG誘導型実験的自己免疫性脳脊髄炎で脊髄の髄鞘再形成および軸索の完全性回復を促進する 2007年10月5日 Nature Medicine 13, 10 doi: 10.1038/nm1664 多発性硬化症などの脱髄疾患は、ニューロン周囲のミエリン鞘の喪失を特徴とし、これは中枢神経系(CNS)における炎症とグリオーシスによって起こる。したがって、現行の治療法は抗炎症的機構によって疾患の進行を阻止あるいは遅延することを狙っている。しかし、軸索の髄鞘形成を増進する方法が明らかになれば、疾患の進行を妨げ、回復にもつながりうる新しい治療法となる可能性がある。LINGO-1(LRR and Ig domain-containing, Nogo receptor-interacting protein)は、in vitroおよびin vivoでのオリゴデンドロサイトの分化と髄鞘形成の負の調節因子であることがすでに明らかになっている。本論文では、Lingo1遺伝子ノックアウト、あるいはLINGO-1機能の抗体アンタゴニスト投与によってLINGO-1機能を喪失させると、実験的自己免疫性脳脊髄炎の機能的回復につながることを示す。この回復は、生物学的には、軸索の完全性回復(磁気共鳴拡散テンソル画像化法により確認)および新たに形成されたミエリン鞘(電子顕微鏡観察によって確認)として観察される。したがって、LINGO-1やそれがかかわる経路に対する拮抗作用は、CNS脱髄疾患に対する有望な治療方法となるだろう。 Full text PDF 目次へ戻る