Letter 軟骨:糖ヌクレオチド輸送体SLC35D1はマウスとヒトの軟骨におけるコンドロイチン硫酸合成および骨格成長に必須である 2007年11月8日 Nature Medicine 13, 11 doi: 10.1038/nm1655 プロテオグリカンは細胞外高分子ファミリーの1つで、中心にあるコアタンパク質とそれに結合した二糖類の繰り返し構造を持つグリコサミノグリカン鎖で構成される。プロテオグリカンは、軟骨形成と骨格の成長に重要な役割をもつ。軟骨のプロテオグリカンで見つかるグリコサミノグリカン鎖は、主としてコンドロイチン硫酸で構成される。コンドロイチン硫酸鎖が完全であることは軟骨のプロテオグリカンの機能に重要であるが、哺乳類におけるコンドロイチン硫酸の代謝の解明は進んでいない。SLC35D1(solute carrier-35 D1)遺伝子(SLC35D1)は小胞体の糖ヌクレオチド輸送体(NST)をコードしており、NSTはコンドロイチン硫酸の生合成に必要な基質を運ぶ可能性がある。今回、Slc35d1欠損マウスを作製したところ、顔面と四肢の骨が重度に短縮する致死性の骨格形成異常を示した。変異ホモ接合体マウスの骨端軟骨は、増殖層が減少し、円形の軟骨細胞を持ち、マトリックスは粗になり、プロテオグリカン集合体は減少する。こうしたマウスでは、コンドロイチン硫酸生合成の障害により、コンドロイチン硫酸鎖は長さが短く、数も減少する。さらに、ヒトSLC35D1の機能喪失変異は、重症の骨格形成異常である蝸牛様骨盤異形成症(Schneckenbecken dysplasia)を引き起こすこともわかった。今回の結果は、プロテオグリカン機能と軟骨代謝におけるNSTの重要な役割を明らかにするものであり、骨・関節疾患および糖生物学の新しい概念を示している。 Full text PDF 目次へ戻る