Technical Report

成長ホルモン療法:成長ホルモンのリガンド−受容体融合体は二量体を形成し、長時間作用型の強力なアゴニストとなる

Nature Medicine 13, 9 doi: 10.1038/nm1610

サイトカイン類ホルモンは血漿中濃度半減期が短く、頻繁な投与が必要である。例えば、成長ホルモン補充療法では毎日注射をすることになる。ほかのサイトカイン類と共通していることだが、成長ホルモン受容体の細胞外ドメインは結合タンパク質として血中を循環しており、成長ホルモンの生理的半減期を延長させている。今回我々は、成長ホルモンとその受容体の細胞外ドメインが作るリガンド−受容体融合体の生物学的作用を調べた。遺伝子工学的手法によりリガンド−受容体融合タンパク質を哺乳類培養細胞から精製した。ラットでは、このリガンド−受容体融合体のクリアランスは未処理成長ホルモンの300分の1に低減し、単回の注射で10日間にわたって成長を促進した。これは、未処理成長ホルモンの投与後にみられる成長を大きく上回っている。このリガンド−受容体融合体は、一方の頭部が他方の尾部に結合した形の二量体を形成し、成長ホルモンとその結合タンパク質からなる天然の「貯蔵庫」に類似した不活性型ホルモン貯蔵庫の役目をする。つまり、サイトカインとその受容体の細胞外領域とのリガンド−受容体融合により、吸収・除去の速度がきわめて遅く、強力で長時間作用型のアゴニストが生じる。この手法は、ほかのサイトカイン類にも容易に適用できると考えられる。

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