Letter 高血圧:食塩感受性高血圧には血管平滑筋のG12-G13-LARGを介するシグナル伝達が必要である 2008年1月8日 Nature Medicine 14, 1 doi: 10.1038/nm1666 血管平滑筋細胞の緊張は、全末梢血管抵抗の主要な決定因子であり、その結果として動脈血圧を決定している。高血圧の形態のほとんどは、全末梢抵抗の増大をもたらす血管緊張上昇の結果として生じる。正常血圧および高血圧下での血管抵抗の調節には多数のメディエーターが関与し、その多くは血管平滑筋細胞上のGタンパク質共役受容体を介して作用する。血管収縮を仲介する受容体は、Gタンパク質Gq-G11およびG12-G13と共役し、それぞれCa2+/MLCキナーゼとRho/Rhoキナーゼを介したシグナル経路を介してミオシン軽鎖(MLC)のリン酸化を促進する。我々は、平滑筋細胞でCre/loxP系を使った突然変異誘発により、この両方のシグナル経路を急速に抑止できる遺伝子組み換えマウスモデルを用い、基礎血圧の維持ならびに食塩感受性高血圧の発症には、平滑筋細胞でのGq-G11が介在するシグナル伝達が必要であることを示す。これとは対照的に、G12-G13の欠損は、その主要なエフェクターである白血病関連Rhoグアニンヌクレオチド交換因子(LARG)の欠損と同様、正常な血圧調節には影響を与えなかったが、食塩感受性高血圧の発症を防止した。このことは、G12-G13-LARGを介するシグナル経路は、抗高血圧療法において正常な血圧調節に影響を与えないと予想される新規標的であることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る