Technical Report HIV:強化したT細胞受容体を発現するCD8 T細胞によるHIV-1免疫回避の制御 2008年12月3日 Nature Medicine 14, 12 doi: 10.1038/nm.1779 HIVはHLA-I拘束性ペプチド抗原を変化させる能力がかなり高く、これによって宿主の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)から逃避できる。しかし、HLA-I関連抗原を標的とする治療物質で、一連の選択されたCTL逃避変異体に対する特異性をもつものは、こうした場合にも有効だろうと考えられる。今回我々はファージディスプレイ法を用いて、HIV感染者由来のCTL系列から生じた、免疫優性HLA-A*02拘束性HIVgag特異的ペプチドSLYNTVATL(SL9)に特異的なT細胞抗原受容体(TCR)を単離し、その能力を増強した。作り出された高親和性TCR(KD<400 pM)は、結合の半減期が2.5時間を超え、特異性を維持しており、HIV感染細胞を標的とし、このエピトープを共有する逃避変異体をすべて認識した。この超生理学的TCRを形質導入したCD8 T細胞は、天然のSL9特異的TCRを形質導入したCD8 T細胞に比べて、産生する可溶性因子の種類とインターロイキン2産生量が多く、T細胞療法で達成できると思われるエフェクター細胞/標的細胞の比率でHIVの野生株および変異株を有効に制御した。 Full text PDF 目次へ戻る