Technical Report 幹細胞:正常なヒト乳房上皮幹細胞のin vivoでの再生能力による定量 2008年12月3日 Nature Medicine 14, 12 doi: 10.1038/nm.1791 これまでの研究から、正常なマウス乳房組織にはごく少数の乳房幹細胞が含まれていることが明らかになっている。今回我々は、それに類似した細胞集団を正常なヒト乳房組織で見つけ出す方法について報告する。分離した細胞標品を、コラーゲンのゲル中に繊維芽細胞とともに懸濁し、ホルモン投与した免疫不全マウスの腎臓被膜下にこのゲルを移植した。2〜8週間後、ゲル内には2層からなる乳房上皮構造が生じ、そこには内腔細胞および筋上皮細胞、in vitroでクローン性増殖能をもつそれらの前駆細胞、二次移植で同様の構造を作り出す細胞などが含まれていた。クローン性増殖能をもつ再生前駆細胞は、標品中に取り込まれた乳房幹細胞の活性の客観的指標となるため、これらのヒト乳房幹細胞の存在頻度および表現型を限界希釈解析法で決定することが可能になる。この新しい測定手法は、正常なヒト乳房幹細胞や、おそらくは他の組織の幹細胞について、その制御機構やこれらの細胞とヒトがん幹細胞集団との関連性を研究するための足がかりとなる。 Full text PDF 目次へ戻る