Article がん:間質の遺伝子発現による乳がん臨床転帰の予測 2008年5月1日 Nature Medicine 14, 5 doi: 10.1038/nm1764 がんは腫瘍間質から生じるシグナルの影響を受けることが次第に明らかになりつつあるが、間質の遺伝子発現の変化が上皮系腫瘍の進行にどのように影響するのかはほとんどわかっていない。我々はレーザーキャプチャーマイクロダイセクションにより53例の原発性乳腺腫瘍から得られた腫瘍間質の遺伝子発現プロファイルを比較し、臨床転帰と強く関連する特徴を見いだした。本論文では、標準的な臨床予後因子や、遺伝子発現を基盤とする公表済み予測因子に関係なく、疾患の転帰を層別化する新しい間質由来予後予測因子(SDPP)を示す。SDPPは、以前に発表された複数の全腫瘍由来遺伝子発現データセットにおける転帰を予測し、リンパ節転移のみられない腫瘍を含む多数の臨床亜型から転帰のよくない患者を同定した。また、このSDPPは以前に報告された予測因子、特にHER2陽性腫瘍に対する予測因子について、より高い正確度を示す。SDPPに現在使われている予後予測因子を組み合わせることで、予後予測能力は相当向上する。SDPPに含まれる遺伝子群は血管新生応答や低酸素応答に加えて免疫応答の違いを予想する能力も高いことが明らかになり、腫瘍の進行に間質の生物学的性質が重要であることがはっきりと示された。 Full text PDF 目次へ戻る