Article 感染症:インフルエンザ感染回復期におけるインターフェロンγによる肺の対細菌防御機構の抑制 2008年5月1日 Nature Medicine 14, 5 doi: 10.1038/nm1765 肺のウイルス感染後では2次的細菌感染が起こることが多く、これはヒトの重症疾患のよくある原因だが、肺でのこのウイルス-細菌相乗作用をもたらす原因についてはほとんどわかっていない。本論文では、マウスでインフルエンザ感染にT細胞が応答して肺インターフェロンγ (IFN-γ)が産生されると、肺胞マクロファージによる肺からの初期の細菌排除が抑制されることを報告する。この貪食作用の抑制は肺のIFN-γの存在量と相関するが、ウイルス負荷とは相関せず、肺炎球菌2次感染に対する罹患性を増大させる。この2次感染は、インフルエンザ感染後にIFN-γを中和することにより予防できる。IFN-γを直接播種するとインフルエンザ感染に類似した状態となり、肺胞マクロファージのクラスAスカベンジャー受容体MARCOの発現量が低下する。したがって、IFN-γはおそらく特異的な抗インフルエンザ適応免疫の誘導は促進するが、肺における細胞外細菌病原体に対する自然防護作用は抑制する。 Full text PDF 目次へ戻る