Technical Report オーム解析:多発性硬化症患者脳脊髄液中のオリゴクローナル免疫グロブリンのトランスクリプトームとプロテオームの適合 2008年6月15日 Nature Medicine 14, 6 doi: 10.1038/nm1714 本論文では多発性硬化症を例として、ヒト体液および組織検体中の免疫グロブリン(Ig)プロテオームとB細胞トランスクリプトームとを相関づける手法について述べる。脳脊髄液(CSF)中のオリゴクローナルIgバンドとクローン性増殖したB細胞数の増大は、多発性硬化症診断の際の顕著な特徴である。今回我々は、多発性硬化症患者4名について、採取したCSF検体のB細胞のIgトランスクリプトームと、それに対応するIgプロテオームとを比較した。V(D)組換えと体細胞超変異によって導入された患者特異的な変異を含む、個人ごとのIgトランスクリプトーム・データベースを作成した後、対応する特徴的なペプチドをCSF中で質量分析により探索した。各患者の検体で、IgトランスクリプトームとIgプロテオームはよく重なり合い、このことから、CSF中のB細胞が実際にオリゴクローナルIgバンドを作り出すことが明らかになった。この手法は、他の臓器特異的な診断用体液検体もしくは組織検体についても、患者個人の局所B細胞のIg転写産物とそれに対応する抗体プロテオームとの比較を行うのに適用できる。 Full text PDF 目次へ戻る