Technical Report がん:BRCA2の変異評価のための、マウス胚性幹細胞を用いる機能解析 2008年8月1日 Nature Medicine 14, 8 doi: 10.1038/nm.1719 乳がん感受性遺伝子であるBRCA1およびBRCA2の変異保有者では、70歳までに乳がんを発症するリスクが最大80%にもなる。変異保有者を見つけだし、予防や早期診断によって死亡率を低減させるために現在使える方法は、塩基配列にもとづく遺伝子検査である。しかし適切な機能解析法がないため、乳がん情報中核(BIC)データベースに格納されている、BRCA1およびBRCA2の遺伝子産物を欠損させるかどうかが明らかでない1,900以上の多型のリスク評価が妨げられている。今回我々は、マウス胚性幹(ES)細胞と細菌人工染色体を用いて、BRCA2の変異の機能的意味を調べるための、簡便で汎用性があり信頼度も高い解析法を確立し、それを使って17種類の塩基配列多型を分類した。この解析法は、ヒトBRCA2がマウスES細胞の内在性Brca2の欠失を補完できるという性質にもとづいたものである。この手法は、他のヒト疾患関連遺伝子で見つかっている変異の機能解析を行うための理論的枠組みにもなると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る