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免疫:インフルエンザウイルスの急性感染の際にエフェクターT細胞はIL-10の生産により肺の炎症を制御する

Nature Medicine 15, 3 doi: 10.1038/nm.1929

活性化された抗原特異的T細胞は、感染を一掃するためにさまざまなエフェクター分子を産生するが、これらは炎症と組織傷害の一因ともなる。本論文では、ウイルスの急性感染の際、感染した末梢中の抗ウイルス性CD8+およびCD4+エフェクターT細胞(Teff細胞)にみられる抗炎症性について報告する。インフルエンザウイルスの急性感染では、感染肺でインターロイキン10(IL-10)が大量に産生されることがわかった。この産生は、浸潤してきたウイルス特異的なTeff細胞によるものがほとんどで、IL-10の大部分はCD8+ Teff細胞が産生していた。末梢のこのようなTeff細胞は、IL-10と炎症性サイトカインを同時に産生し、また従来の1型ヘルパーT細胞あるいは1型細胞傷害性T細胞の特徴である系統マーカーを発現している。Teff細胞由来のIL-10の作用を阻害すると肺の炎症が増悪し、致死的な傷害が起こる。今回の結果は、抗ウイルス性Teff細胞が調節機能を果たしていること、つまり抗炎症性サイトカインの産生によりインフルエンザ感染に関連する肺の炎症と傷害の程度を微調整していることを示している。我々は、これらの知見は非常に病原性の高いインフルエンザウイルス感染に関係すると考えている。

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