Letter がん:コピー数解析により示された致死性転移性前立腺がんの単クローン性起源 2009年5月14日 Nature Medicine 15, 5 doi: 10.1038/nm.1944 原発性前立腺がんは多病巣性であり、遺伝学的に異なる複数のがん細胞クローンによって構成されることは、多くの研究によって示されている。多クローン性の原発性前立腺がんは一般的に多クローン性の前立腺がん転移を生じるのか、それとも単クローン性の転移を生じるのかはほとんどわかっていないが、単一の遺伝子座に関する研究結果は後者と一致している。今回我々は、ゲノム全域にわたる一塩基多型およびコピー数の高分解能解析から、すべてではないが大半の転移性前立腺がんは単クローン性起源で、親がん細胞に独特かつ特徴的なコピー数パターンを維持している一方で、別々のサブクローンに維持されたさまざまな数の変異が蓄積されていることを示す。転移の解剖学的部位とゲノムにおけるコピー数変異パターンとの関連性は認められない。前立腺がんその他の転移性がんについて、転移に関する動物レベルでの以前の研究および細胞遺伝学研究、また最近の単一遺伝子座についての遺伝学的データを併せて考えると、これらの結果は、原発性がんでは一般にゲノムの不均一性がみられるにもかかわらず、大半の転移がんは単一の前駆細胞がん細胞から発生することを示している。本研究は、各患者の解剖学的に異なる複数の転移性がんのゲノム考古学により、致死性かつ転移性の表現型が確かめられている親がんクローンのゲノムの顕著な特徴を決定できることを確証している。 Full text PDF 目次へ戻る