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血液:ずり速度勾配依存的な血小板凝集機構が促進する血栓形成

Nature Medicine 15, 6 doi: 10.1038/nm.1955

血管損傷部位での血小板凝集は止血や動脈血栓形成に非常に重要である。血小板凝集と血栓成長は、血管損傷部位で産生される可溶性アゴニストによって開始されるとずっと考えられてきた。本論文では、高解像度生体画像化法と流体力学的解析によって、血小板凝集は、主として血流パラメーターの変化(レオロジー的変化)によって駆動され、可溶性アゴニストは形成された凝集体を安定化するという二次的な役割をもつことを示す。血管損傷に応答して、血栓はまず円盤型血小板凝集体の安定化の進行によって成長する。血流動態の解析から、円盤型血小板は形成中の血栓の下流側のずり速度の低い領域に接着しやすく、膜繋留部分の動的再構成に依存して凝集体が安定化されることがわかった。これらの知見は、血流パラメーターの乱れが血栓形成を促進することを示す手がかりとなり、血小板凝集と血栓成長を駆動する機構の根本的な見直しが必要であることを示唆している。

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