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感染症:エンテロウイルス71の機能的受容体としてのヒトPセレクチン糖タンパク質リガンド1

Nature Medicine 15, 7 doi: 10.1038/nm.1961

エンテロウイルス71(EV71)は、主に乳幼児にみられる一般的な発熱性疾患である手足口病の主要な原因となる病原体である。手足口病の臨床症状は通常軽度で予後は良好であるが、重篤なEV71感染症流行の際には、多様な神経疾患をもたらすことがある。特異的細胞受容体の同定は、ウイルス−宿主間相互作用の初期過程やエンテロウイルス病原性発現の機構解明に極めて重要である。今回我々はパンニングによる発現クローニング法を用いて、白血球に発現するシアロムチン膜タンパク質であり、炎症の初期段階で極めて重要な役割を果たすPセレクチン糖タンパク質リガンド1(PSGL-1;CD162)を、EV71の機能的受容体として同定した。PSGL-1のN末端領域は、EV71と特異的に結合する。非感受性マウスL929細胞におけるPSGL-1の安定的発現は、EV71の侵入・増殖と細胞変性効果をもたらす。EV71分離株8株のうち5株は可溶性PSGL-1に結合し、PSGL-1をジャーカットT細胞感染のための主要な受容体として使っていた。他の3つのEV71分離株はPSGL-1を使用せず、白血球では分離株特異的なEV71増殖機構が存在することが示唆された。非白血球細胞ではEV71がPSGL-1非依存的に増殖し、これはEV71に対する別の受容体の存在を示している。PSGL-1をEV71受容体として同定したことは、手足口病およびEV71が関連する他の疾患での細胞指向性や病態形成におけるPSGL-1陽性白血球の役割の新たな解明につながる。

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