Article 骨疾患:骨髄間葉系幹細胞のTGF-β1誘導性遊走が骨吸収と骨形成を共役させる 2009年7月1日 Nature Medicine 15, 7 doi: 10.1038/nm.1979 骨のリモデリングは、骨吸収とそれに続く骨形成の厳密な協調に依存している。この過程の障害は、カムラチ・エンゲルマン病(CED)などの骨格疾患と関連している。本論文では、in vitroおよびin vivoモデルを用いて、骨吸収時に放出される活性型トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)1が、骨髄間葉系幹細胞としても知られる骨髄間質細胞の骨吸収部位への遊走を誘導することにより骨形成を調整し、この過程はSMADシグナル伝達経路を介して起こることを示す。TGFB1(TGF-β 1をコードする)のCED由来変異体をもつマウスは、ヒト疾患でみられる典型的な進行性骨幹異形成症を示すが、このマウスでは骨髄の活性型TGF-β 1濃度が高いことがわかった。TGF-β 1型受容体阻害薬の投与により、脱共役した骨リモデリングが部分的に正常化され、骨折が防がれた。したがって、TGF-β 1は骨吸収と骨形成を共役させる働きをしており、TGF-β 1活性の調節は骨リモデリング疾患の有効な治療法となると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る