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がん:BRCA1変異保有者における基底細胞腫瘍発生の候補標的細胞集団である異常な管腔前駆細胞

Nature Medicine 15, 8 doi: 10.1038/nm.2000

腫瘍抑制因子タンパク質BRCA1をコードするBRCA1遺伝子に変異をもつ女性に生じる基底細胞様乳がんは、乳腺幹細胞から発生すると考えられている。BRCA1変異保有者に早期に起こる細胞変化を調べるために、正常乳腺組織、およびBRCA1変異をヘテロ接合でもつ患者の前がん試料から、別個の上皮細胞亜集団を前もって単離した。ここでは基底幹/前駆細胞、管腔前駆細胞、および成熟管腔細胞の3つの上皮細胞サブセットについて述べる。意外にも、BRCA1変異保有者の乳房組織では、管腔前駆細胞集団が増殖していることがわかった。この集団は、in vitroで因子非依存的な増殖を示す。また、遺伝子発現プロファイリングから、BRCA1変異をヘテロ接合でもつ乳房組織と乳房基底細胞腫瘍は、幹細胞が豊富な細胞集団を含めた他のどのサブセットよりも、正常な管腔前駆細胞に類似していることが示された。c-KITチロシンキナーゼ受容体(KITにコードされる)が、管腔前駆細胞の重要なマーカーであることが明らかになり、これはBRCA1関連前がん組織や腫瘍でより多く発現していた。今回の知見は、異常な管腔前駆細胞集団がBRCA1関連基底細胞腫瘍における形質転換の標的であることを示唆している。

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