Article 血液疾患:miR-145およびmiR-146aは5q−症候群の表現型をもたらすメディエーターである 2010年1月1日 Nature Medicine 16, 1 doi: 10.1038/nm.2054 骨髄異形成症候群の亜型である5q−症候群は、重度の貧血およびさまざまな程度の好中球減少を特徴とするが、血小板数は正常または高値であり、巨核球の形成異常がみられる。我々は、第5番染色体長腕(5q−)上にコードされるマイクロRNA(miRNA)の発現が、ハプロ不全の原因となっている可能性について検討した。5qの欠失は、造血幹/前駆細胞(HSPC)に多く存在するmiRNAであるmiR-145およびmiR-146aの消失と相関しており、これらのmiRNAの標的がそれぞれ、TIRAP(Toll-interleukin-1 receptor domain-containing adaptor protein)、およびTRAF6(tumor necrosis factor receptor-associated factor-6)であることがわかった。TIRAPは、自然免疫シグナル伝達でTRAF6上流に位置することが知られている。マウスHSPCでのmiR-145およびmiR-146aの同時ノックダウン、あるいはTRAF6の強制発現により、血小板増加、軽度の好中球減少および巨核球の形成異常がみられた。TRAF6を発現する骨髄を移植したマウスでは、骨髄不全または急性骨髄白血病のいずれかが発症した。したがって、HSPCでの自然免疫シグナル伝達の不適切な活性化は、5q−症候群が有する複数の臨床的特徴を表現型模写している。 Full text PDF 目次へ戻る