Article 血液疾患:ヒト5q−症候群のマウスモデルではp53依存性機構が大球性貧血の原因となる 2010年1月1日 Nature Medicine 16, 1 doi: 10.1038/nm.2063 染色体転座切断点に関与する遺伝子が同定されたことで、血液悪性疾患の分子基盤の理解は根本的に変わった。これとは対照的に、染色体欠失の研究は欠失する遺伝子の数が極めて多く、これらの解析が複雑であることに妨げられている。本論文では、大規模な染色体操作による、ヒト5q−症候群マウスモデルの作製について報告する。Cd74-Nid67間(リボソームタンパク質S14をコードするRps14を含む)のハプロ不全は、大球性貧血、および骨髄での顕著な赤芽球異形成と単分葉性巨核球をもたらした。こうした影響は、骨髄前駆細胞の発生障害、がん抑制因子p53を大量に発現している骨髄細胞の出現、および骨髄細胞のアポトーシス増加と関連して起こった。p53欠損マウスとの交雑により前駆細胞の異常は完全に救済され、一般的な骨髄前駆細胞と巨核球-赤芽球系前駆細胞、顆粒球-単球系前駆細胞、および造血幹細胞骨髄集団が回復したことは注目すべきである。このマウスモデルは、p53依存性機構が5q−症候群の病態生理の基盤であることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る