Letter がん:リアルタイム画像化法によって明らかになった脳転移巣形成の各段階 2010年1月1日 Nature Medicine 16, 1 doi: 10.1038/nm.2072 がん患者では脳転移がしばしば起こり、致命的となることも少なくない。今回我々は、多光子励起レーザー走査型顕微鏡を用いて転移巣形成の各段階をリアルタイムで画像化した。これによって、マウス脳深部の血管について、転移する個々のがん細胞の行方をin vivoで数分から数か月にわたって追跡することが可能になった。このモデルでみられた「極めて重要な」段階は、血管分枝箇所での細胞の停止、早期の血管外遊出、微小血管との持続的で密接な接触、血管吸収(メラノーマの場合)もしくは初期血管新生(肺がんの場合)による血管周辺での増殖である。「効果のない」段階は腫瘍の型によって異なっていた。長期休眠状態が観察されたのは、血管周囲に単独で存在するがん細胞についてのみであり、こうした細胞の一部は絶えず移動していた。血管内皮増殖因子A(VEGF-A)を阻害すると、血管新生によるマクロ転移巣への成長阻止により、肺がんミクロ転移巣の長期休眠状態が誘導された。脳転移巣確立のin vivoでの画像化が可能になったことで、転移巣の進化や治療応答について新たな手がかりが得られる。 Full text PDF 目次へ戻る