神経疾患で脳の複雑な分子機構が破壊される仕組みや、そうした機構が疾患に果たす役割を解明することは、非常に込み入った仕事になると思われる。気分変動の基盤や、脳回路が損傷を受けたり変化したりした場合にヒトがどう反応するかを知ることから、こうした神経学的不調の原因を標的とする新しい治療法の手がかりが得られるかもしれない。BEDSIDE TO BENCHではD R WeinbergerとC F Zinkが、神経性無食欲症の患者で、拒食とその動機付けの価値との間に関連がみられるのはどういう仕組みによるのかを論じている。これは、喜びの欠如をこの疾患の症状に結びつける従来の考えとはまったく異なる見方であり、適切な治療法を開発するための新しいパラダイムとなる。BENCH TO BEDSIDEではD S CharneyとJ W Murroughが、ラットでのケタミンの抗うつ作用、つまり神経栄養作用によって、臨床でこの薬剤を用いた時にみられるうつ症状の急速な軽減をどう説明できるかを詳しく述べている。これに関与する受容体やシグナル伝達カスケードを使って、この迅速な効果をさらに強められる治療法が開発されるかもしれない。