Review

神経疾患:神経疾患における拡延性抑圧、広汎性脱分極および拡延性虚血の役割

Nature Medicine 17, 4 doi: 10.1038/nm.2333

広汎性脱分極は、中枢神経系灰白質の脳波を示し、神経細胞の腫脹、樹状突起棘の歪曲、緩徐性電位の大きな変動、電気的活動の鎮静化(拡延性抑圧)を特徴とする。臨床においては現在、動脈瘤性クモ膜下出血、クモ膜下出血後の遅発性虚血性脳卒中、悪性半球性脳卒中、特発性脳内出血または外傷性脳損傷の患者に広汎性脱分極が頻繁に生じることを示す明白な電気生理学的証拠が存在している。広汎性脱分極は、実験的にはカリウム、グルタミン酸、ナトリウムポンプ阻害剤などの化学物質、てんかん重積状態、低酸素、低血糖および虚血などの種々の侵害性状態によって誘発されるが、健常な未処置の組織を侵襲する場合もある。抵抗血管は緊張度の変化によってそれに反応し、健常な組織における一過性の過灌流(生理的な血行動態反応)、または進行性の損傷リスクを有する組織における重度の低潅流(逆行性血行動態反応または拡延性虚血)のいずれかを生じ、そのことが病変の進行の一因となる。広汎性脱分極または逆行性血行動態を標的とする治療により、これらの神経状態が治療できる可能性がある。

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