Technical Report 画像化法:脳深部血管内の酸素量と血流量の2光子励起法による同時画像化 2011年7月1日 Nature Medicine 17, 7 doi: 10.1038/nm.2394 脳でのエネルギー代謝を調節する基本原理の解明には、酸素分圧(PO2)と血流量を空間的・時間的に高分解能でマッピングすることが必要である。今回我々は、2光子励起リン光寿命顕微鏡法(2PLM)と酸素プローブPtP-C343を用いて、脳内の最大300 μmの深さのPO2をマイクロメートルスケールの分解能で高精度測定できることを示す。さらに、2PLMを用いることで、毛細血管内の血流量とPO2を1秒未満の時間分解能で同時に測定することも可能になった。この手法を用いて、ラット嗅球内の酸素量のEAT(erythrocyte-associated transients)を検出し、拡散に基づく動静脈短絡の存在を明らかにした。感覚刺激は機能的充血を引き起こし、これに伴って毛細血管内でのPO2の上昇と、神経網での「initial dip」(神経活動直後の酸素分圧低下)とリバウンドからなる二相性のPO2応答が見られた。PO2の2PLM測定は、脳内の代謝と血流調節の研究に新たな道を開く。 Full text PDF 目次へ戻る