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ワクチン:リンパ節でのT細胞応答から弱毒SIV生ワクチンの有効性が予測される
Nature Medicine 18, 11 doi: 10.1038/nm.2934
サル免疫不全ウイルス(SIV)に対する弱毒生ワクチン(LAV)は、HIVおよびエイズの非ヒト霊長類モデルにおいてすべてのワクチン中で最も有効性が高いが、そのロバストな防御効果の基盤はほとんど解明されていない。本論文では、野生型SIVmac239の静脈内攻撃投与に対するLAVによる防御の程度が、リンパ節のSIV特異的でエフェクターに分化したT細胞の応答の規模および機能とは強く相関するが、血液中の同種のT細胞による応答、あるいは他の細胞性免疫、液性免疫および自然免疫のパラメーターとは相関しないことを示す。防御作用を持つT細胞応答の維持がリンパ節での持続的なLAV複製と関連すること、またこのようなLAV複製はほぼ濾胞性ヘルパーT細胞だけで起こることがわかった。したがって、有効なLAVは、リンパ組織にエフェクターに分化したSIV特異的なT細胞を維持しており、このT細胞が野生型SIVの早期増殖を阻止し、抑制する。もしこのようなT細胞が十分な頻度で生じるならば、感染の完全な制御と、おそらくはウイルスのクリアランスも可能となるだろう。この観察結果は、このような応答を誘発・維持できる安全な持続発現型ベクターを開発するための論理的根拠となる。