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免疫:HIV多糖に依存する広範囲中和抗体のエピトープは免疫回避を介して進化する
Nature Medicine 18, 11 doi: 10.1038/nm.2985
中和抗体は、予防的なHIV-1ワクチンで重要な役割を担っていると考えられる。広範囲交差中和(broadly cross-neutralizing:BCN)抗体をワクチン接種によって誘導する試みは成功していないが、少数の患者では感染の数年後に自然にこのような抗体が生じる。そのような抗体が生じる仕組みや、このような応答の形成にウイルスの進化が果たす役割については明らかではない。本論文では、HIV-1エンベロープタンパク質gp120の第332番目のアスパラギン残基(Asn332)に結合している多糖を標的とするBCN抗体を持つ2人のHIV-1感染者で、当初に感染したウイルスにはこの多糖が存在しなかったことを示す。このBCN抗体エピトープは、感染後の6か月以内に初期のウイルス株特異的な抗体からの免疫回避を介して進化したもので、進化の結果として多糖が第332位に移動した。第332番目のアミノ酸に多糖が結合していないウイルスはともに、Asn332に依存するBCNモノクローナル抗体のPGT128に耐性を示したが、免疫を回避した後にこの多糖を獲得した変異ウイルスは感受性であった。大規模な塩基配列解読データと中和実験データセットを解析した結果、第332位に結合している多糖は、感染したサブタイプCウイルスでは、慢性感染しているウイルスに比べて大幅に少なく、またこの多糖を欠くことがPGT128に対する耐性と相関することが示された。これらの知見は、感染初期に生じる抗体とウイルスの免疫回避との動的相互作用が、保存されたBCN抗体エピトープの進化を駆動していることをはっきり示している。N&V p.1616