Letter 高血圧:マウスのプロテインキナーゼGにおける 単一原子置換は、酸化体感知を消失させ 高血圧を誘導する 2012年2月1日 Nature Medicine 18, 2 doi: 10.1038/nm.2603 血圧の調節は健康維持に不可欠であり、高血圧は心筋梗塞、心不全、脳卒中や腎疾患のリスク因子である。一酸化窒素(NO)およびプロスタサイクリンは、詳細まで明らかにされている血管拡張経路を開始させるが、これらの分子の合成が阻害されても、アセチルコリンなどの物質に応答してかなりの血管拡張が生じる。存続するこのような血管拡張活性は、EDHF(endothelium-derived hyperpolarizing factor)と呼ばれていて、導血管よりも抵抗血管でより広く見られ、血圧制御の主要機構とみなされている。ヒトなどの多数の生物種では、複数の血管床で過酸化水素(H2O2)がEDHFの主な構成要因であることが示されている。H2O2は、プロテインキナーゼG I-α(PKG I-α)の2つのαサブユニット間にジスルフィド結合を形成し、これによりNO-サイクリックグアノシン一リン酸(cGMP)経路とは無関係にキナーゼが活性化され、これが血管拡張に結びつく。In vivoで、EDHF機構および血圧制御におけるPKG I-α酸化の重要性を調べるために、PKG I-αのC42S「レドックスデッド」型だけを発現するノックインマウスを作製した。このアミノ酸置換、すなわち酸素原子によりイオウ原子を置換した単一原子変化は、in vivoで抵抗血管におけるH2O2の血管拡張作用を遮断し、高血圧を引き起こした。 Full text PDF 目次へ戻る