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骨粗鬆症:ビタミンEは破骨細胞の融合を促進し、骨量を減少させる

Nature Medicine 18, 4 doi: 10.1038/nm.2659

骨の恒常性は、骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスにより維持される。破骨細胞は、単核の前破骨細胞の融合により形成される多核の細胞である。ビタミンDなどの脂溶性ビタミンは骨の恒常性維持にきわめて重要であることが知られていたが、ビタミンEの骨リモデリングにおける役割は不明であった。今回我々は、遺伝的ビタミンE欠損のマウスモデルであるα-トコフェノール輸送タンパク質欠損マウス(Ttpa–/–マウス)が、骨吸収の減少により高骨量を示すことを見いだした。培養細胞での検討から、α-トコフェノールが、その抗酸化作用とは無関係の機構により、破骨細胞融合に必須の分子であるDC-STAMP(dendritic-cell-specific transmembrane protein)の発現誘導によって、破骨細胞の融合を促進することが示された。これは、α-トコフェノールがMAPキナーゼ14(p38)と小眼球症関連転写因子(mitf)を活性化し、次いで活性化されたmitfがTm7sf4(DC-STAMPをコードする遺伝子)のプロモーター領域に結合することを介して起こる。実際に、Ttpa–/–マウスで見られる異常な高骨量は、Tm7sf4遺伝子の導入によって改善された。さらに、一般的に摂取されているサプリメントに相当する量のα-トコフェノールを添加した飼料を野生型マウスやラットに与えると、骨量が減少した。以上の結果は、血清中ビタミンEは破骨細胞融合の調節を介して働く骨量規定因子の1つであることを示している。

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