Between Bedside and Bench

肥満外科手術による減量

Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/jmedicine185_3

減量はそれ自体難題だが、減らした体重が元に戻らないようにすることも、非常な努力を必要とする。肥満者にとっての健康上の大きな問題の1つは、肥満に関連する病気である2型糖尿病や心血管疾患などによって生命が危険にさらされることで、これは若年者でも起こりうる。胃腸管を縮小したり形状を変えたりする肥満外科手術は本来、非常に重症の肥満症例を対象として考えられたものだが、この処置の効果はびっくりするような体重減少だけにとどまらない可能性を示す証拠が得られている。なぜ肥満外科手術は肥満関連疾患にも有効なのか、また、手術を受けた患者が減少した体重をなぜ維持できるのか、それは腸管から放出される内因性因子類が手術後に変化すると考えれば説明できるかもしれない。BEDSIDE TO BENCHではR LarderとS O'Rahillyが、治療食療法に成功していたにもかかわらず、体重が戻った食事療養者についての研究を詳細に検討している。腸の食欲調節ホルモンが、長期的にはこうした肥満再発の原因となっているのかもしれない。BENCH TO BEDSIDEではK ChandaranaとR L Batterhamが、2種類の肥満外科手術を検討し、腸管由来ホルモンが、減少した体重の維持誘導だけでなくグルコース恒常性の改善にも関係してくることが、こうした手術によって明らかになった経緯について検討している。これらの考察は、肥満外科手術をせずに標的薬で同じ結果を得るための新たな手段につながるかもしれない。

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