Letter 感染症:急速に広がる、定着および毒性の決定因子と関連したMRSA流行 2012年5月1日 Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/nm.2692 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染の流行波について、その基礎となる分子過程はほとんど解明されていない。遺伝子の水平伝播による毒性決定因子の獲得が主な役割を担っていると考えられてきたが、この考え方を裏付ける疫学的および機能的データは不十分である。今回我々は、これまで非常にまれだった、可動性遺伝因子にコードされている遺伝子sasXを持つクローンの広がりについて報告する。sasXはMRSAの定着と病理発生に重要な役割を持ち、鼻腔への定着、肺疾患と膿瘍形成を大きく増進し、免疫回避機構を促進することがわかった。また、配列型239(ST239)由来のsasXが他の配列型に属する侵襲的クローンへ最近広がったことが観察された。この研究は、sasXが迅速に広がる非常に重要なMRSA病原性成立決定因子で、治療介入の有望な標的であることを明らかにしている。今回の結果は、重要な毒性決定因子の遺伝子水平伝播がMRSAの流行波を推進することの原理証明となる。 Full text PDF 目次へ戻る