Technical Report 免疫:短鎖ペプチドをコードするコンビナトリアルライブラリーを用いた、CD8+ T細胞の標的抗原の不偏同定 2012年5月1日 Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/nm.2720 細胞傷害性CD8+ T細胞は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子によって提示される抗原ペプチドを認識する。このようなT細胞は感染症や自己免疫、腫瘍免疫に重要な役割を果たすが、その標的抗原を確実に同定するための不偏的手法は、現在のところ存在しない。これは、抗原特異的T細胞受容体(TCR)の標的であるMHCペプチド複合体に対する親和性が低いこと、こうしたTCRが多種類の抗原に特異性を持つこと、さらにこれらのTCRは抗原提示細胞(APC)によってプロセシングされたタンパク質抗原を認識する必要があることに起因している。本論文では、MHCクラスI分子によって提示された抗原ペプチドを不偏同定する手法について述べる。この手法では、プラスミドにコードされたコンビナトリアルペプチドライブラリーと、単一細胞検出系を用いる。我々はこの手法の有効性を、特性が十分に解析されたインフルエンザウイルス特異的なTCR、MHCおよびペプチドの組み合わせを用いて確認した。抗原ペプチドを保持している単一APCを、無関係なペプチドを保持している数百万個のAPCの中から検出できた。同定されたペプチドのアミノ酸配列は、元のインフルエンザ抗原を明らかにするミモトープ収束パターンを示した。この手法は、疾患に関連するT細胞抗原の同定に広く応用できると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る