Technical Report 画像化法:MRI・光音響法・ラマン分光法という3つの手法すべてに対応する新しいトリプルモダリティー型ナノ粒子を用いた、脳腫瘍の分子画像化戦略 2012年5月1日 Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/nm.2721 脳腫瘍の輪郭をとらえることは難しく、これは脳腫瘍患者の予後向上の大きな障害の1つとなっている。現在使われている画像化技術は、感度や特異性、空間分解能の不十分さによって能力が制限されていることが多い。今回我々は、磁気共鳴画像化法・光音響画像化法・ラマン分光画像化法という3種の画像化法すべてに対応する独自のトリプルモダリティー型ナノ粒子(各手法の頭文字を取ってMPRナノ粒子と命名)が、生きているマウスの脳腫瘍の輪郭を、手術前でも手術中でも正確に描き出すのに役立つことを示す。MPRナノ粒子は、in vitroでも生きているマウスでも、3種類の画像化法すべてで少なくともピコモルの感度で検出された。膠芽細胞腫をもつマウスにMPRナノ粒子を静脈注射すると、MPR粒子は腫瘍に集積して保持され、周囲の健常な組織に集積することはなく、3つの画像化法すべてで、無傷状態の頭蓋を通して非侵襲的に腫瘍の輪郭を描くことができた。ラマン分光画像化法では、手術中に腫瘍切除範囲の指針が得られ、また、組織学的相関から、ラマン分光画像化法によって脳腫瘍輪郭が正確に描き出されていることが確認された。この新しいトリプルモダリティー型ナノ粒子法は、脳腫瘍のさらに正確な画像化および切除を可能にすると期待される。 Full text PDF 目次へ戻る