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肥満:一酸化窒素シンターゼ1を発現する視床下部ニューロンを介するレプチン作用はエネルギー収支を制御する

Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/nm.2724

肥満の世界的に見られる急激な広がりに対抗する有効な手段はほとんどなく、治療標的候補を突き止めるにはエネルギー収支を制御している機構の解明をさらに進める必要がある。脂肪細胞由来のホルモンで、体のエネルギー貯蔵の長期的状態を知らせるレプチンは、脳でレプチン受容体ロングアイソフォームを発現するニューロン(ここではLepRbニューロンと呼ぶ)の複数のタイプを介して作用し、摂食、エネルギー消費や内分泌機能の制御を行っている。多くのLepRb集団で、エネルギー収支に対してレプチン作用に起因する寄与は中程度であり、これらとは別の、これまで見つかっていない視床下部LepRbニューロンがエネルギー収支に重要な役割を果たしていることが考えられる。今回我々は、神経型一酸化窒素合成酵素(NOS1)を発現するLepRb (LepRbNOS1)ニューロン(視床下部LepRbニューロン全体の約20%を占める)におけるLepRbの役割を調べた。マウスでNos1creを用いてLepRbを遺伝的に欠損させると(LeprNos1KO)、過食による肥満、エネルギー消費低下、全身性LepRbヌルマウスで見られる症状に近い高血糖が生じる。これとは対照的に、LeprNos1KOマウスの内分泌機能は、このようなニューロンでのLepRbの遺伝的除去によってわずかな影響しか受けない。したがって、視床下部のLepRbNOS1ニューロンは、レプチンが仲介する全身的エネルギー収支制御の重要な作用部位である。

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