Review

喘息における自然免疫応答と適応免疫応答

Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/nm.2731

喘息は本質的に、2型ヘルパーT細胞(TH2)に依存するIgE産生亢進とマスト細胞および好酸球の動員を伴った気道の炎症性疾患であるとの認識は、吸入コルチコステロイドなどの抗炎症剤の使用による疾患管理の論理的根拠となっている。TH2が誘導する適応免疫に関連する、サイトカインやケモカイン、炎症がかかわる経路について解明が進むにつれて、アレルギー性炎症の動物モデルから予想されるような新しい治療法を求めて、これらの経路の選択的阻害が試みられてきた。しかしこうしたやり方は成功が限られていたこと、また喘息は単なるアレルギー性炎症というだけではないと認められるようになったことで、喘息における自然免疫応答に注目が集まるようになった。近年、自然免疫が担う監視的な役割についての我々の理解が進み、疾患の予防や治療のための新しい標的分子が見いだされている。こうしたものには、樹状細胞の活性化や遊走に影響を及ぼす、環境中あるいは内因性の病原体関連分子パターン(PAMP)やDAMP(danger-associated molecular patterns)による自然免疫活性化経路をはじめ、自然免疫系のサイトカイン分泌機構、新規なT細胞サブセットやリンパ系細胞の同定などがある。

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