Review アレルギー性疾患におけるT細胞の上皮障壁へのホーミング 2012年5月1日 Nature Medicine 18, 5 doi: 10.1038/nm.2760 アレルギー性炎症は、肺、皮膚や腸などの、環境に暴露される上皮表面領域が広い組織で発症する。定常状態では、抗原刺激を受けた記憶T細胞はこのような末梢組織内を巡回して、侵入してくる病原体に対して迅速な免疫応答ができるように助けている。アレルギーを起こしやすい臓器のうち、皮膚と腸の少なくとも2つでは、記憶T細胞は、最初の抗原刺激の間に遊走受容体を発現するようにプログラム化され、この受容体によってこれらの臓器への優先的なホーミングが可能になる。我々は、組織特異的記憶T細胞および炎症特異的T細胞の遊走が、これらの臓器におけるアレルギー性疾患の発症を促進すると考えている。したがって本総説では、組織特異的T細胞遊走についての我々の理解の最近の進歩について論評し、またケモカイン系によるT細胞遊走の調節が、マウスモデルやヒトの皮膚、肺や腸のアレルギー性疾患で、アレルギー性炎症の一因となる仕組みについて概説する。現在、炎症特異的および組織特異的Tリンパ球遊走にかかわる経路群は、非アレルギー性炎症疾患に対する新規な治療法の標的となっており、アレルギー性疾患に有効な新規治療法がもたらされる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る